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HISTORY

かつては洋菓子店

現在の場所にはかつて、神田を本店とした『小鍛冶洋菓子店』の銀座支店(1963年9月開店)がありました。写真は開店当時のもので、まだ珍しかったケーキとコーヒーが楽しめる喫茶店でした。
2階にはバーが入居していたそうです。高度経済成長期の波に乗り、一時は都内に7店舗を構えました。

バブル景気にあった平成初期、建物老朽化により閉店と建替え・ビル新築計画が発足。近隣商店主たちの社交場として地下にバーを作ることが盛り込まれました。店名は 『小鍛冶』 を英訳した『LITTLE SMITH』とし、屋号の名残を今に留めています。

1993年1月に現在のビルが竣工。同年11月15日の開業に向けて各分野から一流の匠が集まり、それぞれの情熱とこだわりが店内の随所に詰め込まれました。それらの作り手たちと、現在及びこれからの担い手たちをご紹介します。

独創的な空間の設計者

「洞窟のよう」「異世界」などと評される店内設計は、新国立劇場や東京都現代美術館を手がけた故・柳澤孝彦氏によるものです。
生前、「私の最小の作品」と語られていました。大胆な曲線で構成され、約4メートルの天井高が地下でありながら開放感を生み、バックバーを中心としたシンメトリーな配置が心地よい調和をもたらします。時を経ても普遍的な魅力を放つ空間です。

木工家具の巨匠

ジョージ・ナカシマ

1905 – 1990

柔らかな座り心地の木製チェアのデザインは、20世紀アメリカを代表する家具デザイナーの故・ジョージ・ナカシマ氏。
その理念と技術を継承する桜製作所が、無垢材による全長20メートルの馬蹄型カウンターを手がけました。節やひび割れを残し、樹木本来の姿が生きた意匠と手仕事が寛ぎのひと時を温もりで包みます。
その大きさから、ビル建築前に分割搬入して組み立てられました。

バー・コンセプト策定

毛利隆雄

ご来店時にお出しする温かいコンソメスープ。一息ついていただき胃腸を守るこのおもてなしは、日本を代表するバーテンダー毛利隆雄氏が考案しました。実務面での知見に基づいたプロデュースを請負い、接客・提供から備品レイアウトに至る、バーとしての基本コンセプトを策定されました。その多くが有形無形の財産として今なお息づいています。

初代店長

保志雄一

初代店長として招聘されたのが、国内外のカクテルコンペティションで数々の優勝を誇る保志雄一です。2種類のジンを使ったマティーニをはじめ、一手間加えた独自のカクテル・レシピを生み出すなどおもてなしスタイルの基礎を確立。在籍中はバーテンダーとしての振る舞いや考え方の指導に尽力し、当店から多くの優秀な人材を輩出する原点となりました。
2004年独立、『BAR 保志』を開業。

現オーナーバーテンダー

佐藤典之

2001年に入社、2018年よりオーナー・バーテンダーとなりました。
私自身もこの空間に魅了され、諸先輩方の薫陶を受けたひとりです。
積み重ねられてきた歴史のバトンをつなぎ、現在を担う私たちが
さらに磨きをかけて新たな歴史を重ねていきます。
長きにわたるご愛顧に深く感謝し、これからも時代を超えて愛される
お店づくりに取り組んでまいります。

独立開業したバーテンダーたち

当店で研鑽を重ねた多くの仲間が独立開業して活躍中です。
それぞれが個性豊かな味わいを生み出し、腕を振るっています。
その違いや共通点を見い出すこともバーの楽しみのひとつ。
お近くにお越しの際にはぜひ足を運んでみてください。

保志雄一  BAR 保志(東京都・銀座)
柳倉加奈  スコッチクラブ 一葉(東京都・新橋)
北添智之  BAR RAGE(東京都・青山)
耳塚史泰  Bar 耳塚(東京都・銀座)
八巻博和  BAR 東京(東京都・銀座)
田畑道崇  BAR AGROS(東京都・銀座)
堀川賀正  BAR 堀川(東京都・銀座)
猪鼻 通  BAR INOHANA(千葉県・浦安市)
金井俊篤  BAR GRAVEL(東京都・代々木)
吉田 尚  Bar 春日(新潟県・新潟市)
三宅綾子  BAR Buonasera(香港)
内田雅之  BAR BUTLER(香港)
松尾一磨  Bar Landscape.(東京都・銀座)
上橋大志  Bar Ambitious(東京都・四谷)
岡崎太佑  BAR VICTOR’S(東京都・人形町)